ベトナムの消費者市場について(ハノイに進出する前の具体的調査)

ベトナムハノイ在住の浅野です。
ハノイを中心に市場リサーチ、日系企業支援、OEM、語学教育事業、日越間貿易を行っています。
ブルーオーシャンなベトナムのハノイについて記事を書いて行きたいと思います。

 

ベトナムの消費者市場について
(ハノイに進出する前の具体的調査)

 

前回は進出する際の留意点について書いた。今回は具体的に以前割烹料理店が進出する前に調査を行った内容とその意味について書いて行きたいと思う。

 

この割烹料理店の経営者は、日本国内で旅館を主に営業している。
その中でも料理には気を使い、ベトナムのハノイに目標を定めて一度訪れた。

 

その中でベトナム人をターゲットとした高級日本食レストランの開業を希望し、その可能性や必要事項について協議した後、具体的な調査を行うことになった。

 

まず第一に、割烹料理と言っても日本人でも食べる人は限られ、ベトナムではさらに限られた業種であり狭い市場と言える。

 

それでもベトナムでは日本食に対しての憧れは強く、大衆店が多い中繁盛している店もある。
人口700万人と言われるハノイでも、日々日本食を食べるベトナム人は数百人いれば良いと思う。
それ程まだベトナムのハノイでは日本食は一般的ではない。
大きな理由として、財力があると思う。

 

話を戻すが、「エリア」「立地」「建物の形態」「周囲の環境」を選定することから始まった。
出店する際に、ローカル店ばかり集まり、所得の高くないエリアに進出してもそれは畑違いであり、見に来る人は多いかもしれないが誰も大いに消費してくれることはないだろう。
そのためハノイの中でも新興地域として有望なエリアを選択し、立地も駐車(自家用車及びバイク)が充分に止めることが出来るスペースを確保出来る箱ものを選んだ。
建物の形態としては一軒家を選び、庭付きで2階建て以上のゆったりした家を選択した。
周囲の環境を考慮するのは、老舗日本食店舗の存在や地域柄の閉鎖性あるいは汎用性を考慮する方が、どのような形態のレストランが出店すべきかを判断出来るためである。

 

飲食店を出店することは容易であるが、その飲食店を継続的に反映させることは決して容易ではない。
日本人はよく日本食レストランに行くが、多くの日本人は妥協して行くことが多いし、一度噂がたてば、再度同じ店に足を運ぶことは少ない。
ある意味一度きりのチャンスであり、それをあまり意識していない経営者も少なくない。

 

物件選定を行い、その次には内装及び機材の選定に移る。
内装はどれだけ二次元データが素晴らしくとも、日本同様にそのまま三次元に現れるとは限らない。
施工技術がそこまで卓越していないベトナムでは現場の一労働者が勝手に主観で図面と異なる作業を行うことがあり得るのだ。
信じられないが独断で良かれと思い自分の意志で図面から外れた施工を行う。
そんな意味が分からない注意を行うのがベトナムらしい点と言えばそうなのである。

 

機材に関しては「揃う」のは揃うのだが、いい品物は海外からの輸入であり非常にコストが嵩む。
ベトナム自国産の製品はもろく使えないことが多い。そのためその点でも妥協点を見極める必要があり、大切なものは多少の出費を覚悟して、良いものを選択すべきだろう。
しかし、椅子やテーブルに関しては手先が器用なベトナムらしく、注文してから短期間で納品してくれる。
その品質も頼む場所を間違わなければ充分なものが出て来る。

 

さて、これと同時並行してこの時は現地法人の設立があった。
現地法人でもローカル法人を選択したため、少し手間が掛かった。
このことは以前書いた法人の選択云々のところと被るので省略する。

 

人材に関しても採用基準や人材育成を含め、日本側と協議していた。
良い給与を出せば募集は増える。
しかし、見合った働きをしてくれるか否かは採用者の目利きに因る。
履歴書は参考にならないので、あくまで実際に質疑応答をして初めてその人のスキルが把握出来る。
何事も実技と実演が一番である。
その中で希望のスキルを持つ人間を取捨選択して、採用後教育して行くのである。

 

食材の仕入れ先や担当者の選定も実は面倒だけど、明確に抑えておく必要がある。
食材を安定的に仕入れることは簡単であるが、コスト高になっても意味がない。
安定した品質のものを安定して供給してくれる業者を選択し、かつその担当者との関係も明確にして行く必要がある。
ある程度の量であれば地場の市場でその日毎に購入しても良いかもしれないが、割烹を謳う店で地場の市場で埃にまみれた食材を提供することは決して得策ではない。

 

鮮魚や畜産に関しては尚更であり、この時はダナンで鮮魚を毎日仕入れている某日本人の協力を得て、鮮魚のルートを確立し、畜産に関してはハノイのある程度のステーキハウスや焼肉店では利用している大手ローカル食肉業者と取引を決めていた。
この食肉業者は以前リサーチしていた際に紹介してもらい、品質もプロに判断してもらいGoサインをもらった企業だった。

 

このようにいくつかの項目がそれぞれ別々に存在し、日本では当たり前に行えるものも分散しているのがハノイであり、それ故に生みの苦労というのが存在する。

 

そして仮に出店したとしても繁盛店になるか否かは分からない。
その一歩としてマーケティングがあり、そのマーケティングもローカル向けであれば予算に因ってTVを使うこと、ポップ広告を利用すること、ネット媒体や紙媒体を使うことなど多種多様である。

 

少し長くなったので、この辺で一度区切ろうと思う。
次回はマーケティングについて少し書いて行こうと思う。

 

(AGネットサポーター forefront.limited CEO 浅野 彰)

 

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