ベトナムの消費者市場について (日本食レストラン編~①)

ベトナムハノイ在住の浅野です。
ハノイを中心に市場リサーチ、日系企業支援、OEM、語学教育事業、日越間貿易を行っています。
ブルーオーシャンなベトナムのハノイについて記事を書いて行きたいと思います。

 

ベトナムの消費者市場について
(日本食レストラン編~①)

 

前回カフェ編でベトナム人がカフェ好きであり、その業態もいくつかに分かれていることについて書いた。

 

今回は日本食レストランについて焦点を充てて行きたいと思う。

 

ベトナムも例に漏れず、日本食を好むベトナム人が増えている。以前は日本食というのは敷居が高く、食べ方もよく分からず、敬遠されていたがここ数年でベトナム人経営者の日本食レストランも登場し、大々的な広告も功を奏して今ではある一定層以上のベトナム人にとって非常に身近な選択肢の1つとなった。

 

日本食と言えば「寿司、刺身、天ぷら」と表現されるくらい海外では一般的なメニューもベトナムでは「酒」がニーズが高い。
日本酒の美味しさを完全に知っているとは思えないのだが、日本酒を飲むことが一種のステータスになり、日本酒と共に刺身の盛り合わせを大量に頼んで、一同酒盛りをすることが富裕層の楽しみ方の1つになっているのは確かである。
最初は生魚を食べることに抵抗があったベトナム人も一度食べて、美味しさを知ればリピートしているのを見るとベトナム人も諸外国同様に日本食が好きと言うことが理解出来る。

 

とは言え、多くのハノイ市内にある日本食レストランは限られた牌の日本人マーケットを対象としており、ごく数店舗がベトナム人向けに展開している。
個人的にはこの出発点がそもそも日本食レストランを経営する上で売上絶対値を下げているとしか思えない。
日本とベトナムの国力で見ると圧倒的に日本が勝っているのだが個人の食に使える金額を比較すると圧倒的にベトナム人の方が勝っているのは皮肉である。
確かに多くのベトナム人は日本人の一般年収よりも圧倒的に少ないのだが、一部の増加しているベトナム人富裕層は日本の一般年収の何倍も手に入れている。
そして、この層が日本食を好んで食べているのである。

 

ランチで1回に10ドル使う日本人の横で、団体で来て日本酒を一升瓶で頼んで刺身や寿司を大量に注文するベトナム人が使う金額は優に500ドルを超える。
日本人は毎日通ってくれるかもしれないが、ベトナム人は一度でもう来ないかもしれない。
しかし、それは店側のサービスレベル次第であり、顧客の好みや趣旨を理解することで飛躍的な売上を確保出来るのがベトナム人顧客確保の強みである。
また500ドルを確保するのには50人の日本人客を掴まえる必要があり、それも店の規模を加味すれば非常に難しい店舗も存在するだろう。

 

要は日本人が通う日本食レストランに勝機を見出すのではなく、ベトナム人が喜んで通い利用してくれる日本食レストランを経営する方がビジネスとして勝機があるのは間違いない。が、これを出来ないのは多くのベトナム在日本食レストラン経営者は元々経営者ではなかった例が多く、経営目線で物事を広く見切れていないこともある。
しかしながら日本で十分な実力を持った経営者がベトナムのハノイで日本食レストランを新規に立ち上げるかというと、まだそういった例はない。
ここに市場と需要供給の乖離が存在している。

 

今後ベトナムに進出して来る日本食レストラン開業意志のある日本人は、まず市場調査と目標値を明確にしてから立ち上げるとブルーオーシャンで勝つことが出来るのではないかと思う。

 

次はベトナム国内の日本食レストラン事情について再度掘り下げて、書いて行きたいと思う。

 

(AGネットサポーター forefront.limited CEO 浅野 彰)

 

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浅野 彰(あさのしょう)
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