ベトナムの消費者市場について (飲食進出以前に留意する点~②)

ベトナムハノイ在住の浅野です。
ハノイを中心に市場リサーチ、日系企業支援、OEM、語学教育事業、日越間貿易を行っています。
ブルーオーシャンなベトナムのハノイについて記事を書いて行きたいと思います。

 

ベトナムの消費者市場について
(飲食進出以前に留意する点~②)

 

前回ベトナムのハノイにおける消費市場の中でも、進出する際の企業形態そして簡単な留意点について書いた。
今回は、進出する際に決めておく留意点に焦点を当てて書いて行きたいと思う。

 

人口9000万人を誇り、ネクストチャイナと呼ばれているベトナムという社会主義国に起こる
消費感化の波を受けたいと思う日本企業は少なくない。
大なり小なり毎月視察に来て、その都度新しい進展があり、進出を決める企業も増えている。

 

しかし、実際に進出を決めて事業を開始しても成功している、つまり売上が充分に上がっている企業は決して多いとは言えないと思う。

 

IT企業、サービス企業、製造業、貿易業と多種多様な企業が進出しているが、今回はその中でもサービス業の飲食に焦点を当てているので、飲食業について書いて行く。
飲食業は大きく分けて2つに分かれる。
1つは完全ベトナム人向けのローカル市場を狙う企業と、もう1つは外国向けで日本人市場あるいは西洋人をはじめとした日本以外の外国人市場を狙う企業である。

 

以前書いたが多くの日本食レストランでは2つ目の日本人向け市場にその多くが狙いを定めて、増えているけど決してボリュームの大きくないマーケットを取り合っている。
しかし、ホーチミンのある日本食レストランはベトナム人及び日本人、そして外国人市場を
大きくまとめて取っている例もある。
その名はSUSHI BARと言い、市内に6店舗展開しているが、アイドリング時間のない朝から夜までの営業で、連日満員である。
ホーチミンで日本食を食べたいのであれば、比較的安く、サービスも上々であるここに行くのが失敗は少ないだろう。

 

上記のSUSHI BARは例外として、その他多くの日本食レストランはホーチミンでなくハノイも含めて、ターゲットは日本人である。
一方完全ローカルを手中にしているレストランは皆無である。
仮にローカルを相手に手中にしたとしても一時の人気で半永続性はまだ見えない。
ここに日本式経営のできる日本食レストランは勝機がある。サービスレベルが低いと言われている東南アジアで、日本人が舵を取り明確な理念の元に営業をしていけば、ローカルのベトナム人でも充分その価値を理解することは容易であり、それは日本人にとっては当たり前のことである。

 

ローカルの人口が凄まじく、消費意欲も日本人とは比較にならない現状がある中で、ローカルに絞り、その中でもどういった形式のレストランを運営して行くのかが肝になる。

 

ベトナムではビュッフェが非常に人気であることは意外に知られていないのだが、それは家族連れで食べ盛りの子供もいることが少し影響され、同時に決められた金額で多くの食事を楽しめることもあるだろう。
また高級嗜好であることから美味しい食材を手に入れて、新鮮で美しい料理を提供することができれば評判の店にもなるだろう。
そこは日本の職人の技であり、ベトナム人シェフにはハードルが高いため、まだまだ日本人にアドバンテージがある。

 

簡単なクイックフードを提供することもブルーオーシャンの1つだろう。
2坪程度で弁当を提供することで低いコストで高い売上も狙うことができる。
立地や公安の懸念もあるが、そこは地元の利を活かした解決策を使えば比較的小資本からの進出が可能である。
そこから多店舗展開を都市部で展開すると、結果的に1店舗以上の売上を上げることができるし、その後に会社ごと売却することも検討可能である。

また鍋料理が非常に好きなベトナム人に、日本嗜好の鍋料理を提供することも1つだろう。
食材はベトナム国内で揃うので、あとは調理方法と提供方法の考案だけである。
これもそこまで障壁はなく、ただ今までハノイでは実践する企業がなかっただけであり、今後でてきてもおかしくない分野である。

 

フォーという麺でできた料理をベトナム人は愛していることから、どんぶりで提供する1杯の料理も可能性がある。
日本で言えばスープストックのような業種である。
少しお洒落にブランドイメージを作り、ベトナム人だけでなく洋人も安心して来れるような形態にすると、それも大きな市場であろう。
毎朝食事を摂るのが習慣であるベトナム人の朝食市場を少し取るだけでも非常に大きな市場なのは一目瞭然なのである。

 

今回は飲食で進出する際の市場の選択と業種について書いて来た。
飲食という言葉では収まり切らない程日本では分断されているが、トナムではまだその境目も形態も多種多様でなく細分化が進んでいない。
これは見方を変えると、どれも可能性を秘めていることになるのだが、どうしても大型店舗や日本の常識で進出してしまう企業が多い中、もう少し視点を変えることで違ったアイディアがでてきて、結果的に大きな果実を採ることになれるだろうと感じている。

 

次回はハノイに絞った主観を交えた進出プランの実例を書きたいと思う。

 
(AGネットサポーター forefront.limited CEO 浅野 彰)

 

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浅野 彰(あさのしょう)
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